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i am a FrogMan。音と数にまつわる日々の雑記。

成長率と前月比の平均は違うってお話

さむ〜い。。あぁ早いもので2015年も1ヶ月と少しで終わり。多くの会社がそろそろ下期計画などでバタバタする時期ではないでしょうか。

先日、とある企業様の打ち合わせに出された来期の売上計画数値が、今期の前月比を足して割ったものだったので「あら〜。」と思ったので成長率、正確には年平均成長率(CAGR)についてつらつら書きたいと思います。

 

年平均成長率(CAGR)とは?

CAGRとは「Compound Average Growth Rate」の略で、いわゆる幾何平均のことを指していて、主に企業の経理的立ち位置において財務分析などを行う時に利用します。もちろん自社データ分析やマーケティングでも大いに役立ちます。

我らがwikipediaにもそんなようなことが書いてあります。

指定した期間に亘る成長率から、1年あたりの成長率として算出した幾何平均のことである。

年平均成長率 - Wikipedia

 

「 そもそも幾何平均なに?」「使ったこと無いよ」って人も多いかと思うので、日頃からよく利用する平均(算術平均)と幾何平均について、成長率という観点で触れてみたいと思います。

 

幾何平均を使った売上成長率の出し方

1年目の売上が800万円

2年目の売上が1,000万円(前年比125%)

3年目の売上が1,500万円(前年比150%)

 

といった売上実績があった場合、1年目からどれくらい成長しているか割合を出して4年目(翌年)の売上計画を作ることが多いですよね。そこでよくやってしまう間違いが下記の平均(算術平均)です。

 

算術平均による成長率の計算

(125%+150%)/2 = 137.5% 

(3年目前年比+2年目前年比)/前年比の数

 

毎年137.5%で成長しているという、それっぽい数値が出てきましたが、実はこれではダメなんです。

1年目の800万円に137.5%を掛けると1,080万円、さらに137.5%を掛けると1,458万円になり、3年目の数値は実績値に比べて50万円近く少ない想定になってしまいます。これが1億単位のビジネスとなるとこのズレが大きな要因になって、目標とか想定とか大幅にロスすることになり、それはそれは恐ろしい限りでございます。。

 

では、早速幾何平均ではどんな数値が出るのか計算してみたいと思います。

 

幾何平均による成長率の計算

(1500万円/800万円)^(1/2) = 136.93...%

(3年目の売上/1年目の売上)^(1/経過年数)

 

算術平均と同じように、800万円に136.93...%を掛けると1,095.4万円、さらに136.93...%を掛けると1,500万円、と3年目の数値がピッタリになりました!これが実際にビジネスでも利用できる成長率の計算方法、俗にいう年平均成長率(CAGR)です。

wikipediaさんではこんな風に書かれてます。

多くの人が平均と聞いて思い浮かべる算術平均と似ているが、それぞれの数値を足すのではなくかけ、その積の冪根(数値がn個ならn乗根)をとることで得られる。幾何平均 - Wikipedia

 

数年先の売上目標などに年平均成長率(CAGR)を使う

企業の事業でよくある3年とか5年の中長期計画においても年平均成長率(CAGR)は利用できます。

 

社長からこんな命令が出たとします。

オリンピックの5年後までに単年売上10億円だ!現状の5倍だ!やるぞー! 

 

そんな遠い未来のこと言われても・・・。ってなる人もいるかもしれませんが、目標は大事なのでしっかりとプロセス踏んで行きましょう。で、そんな時に使えるのが年平均成長率(CAGR)です。

先ほどの幾何平均と同じように当てはめて数式化してみます。社長は現状の5倍って言われてるので、現状は2億円ってことでしょう。

 

年平均成長率(CAGR)による目標までの成長率の計算

(10億円/2億円)^(1/5)= 137.97...%

(2020年の目標売上/2015年の売上)^(1/経過年数)

 

普通に考えたら結構エグいお話ですが(笑)、毎年137.97...%ずつ成長していけば辿り着けそうです。後はどんなプロセスや施策を差し込むかですがそれは計算では出ません・・・。

 

 まだ使ったことが無い人や平均(算術平均)で成長率を出してた人はぜひ使ってみてください。どんな現場でも活用できる良い数式だと思います。さて、音楽聴きに行ってきます。